睡眠を始めて5時間ほどで目が覚めてしまうのは、単なる睡眠不足ではなく、体からのサインの可能性があります。
この記事では、専門家の視点から、睡眠サイクルとの関係、中途覚醒や早朝覚醒といった現象の背景、考えられる主な原因を解説し、今日から実践できる7つの具体的な改善策を説明します。

夜中に目が覚めて、その後なかなか眠れなくてつらいです…



原因に応じた対策で、質の高い睡眠を取り戻しましょう
- 5時間で目が覚める主な原因(生理的・心理的・環境要因)
- 睡眠の質を改善する具体的な7つの対策
- 中途覚醒と早朝覚醒の違い
- 改善しない場合の専門家への相談タイミング
なぜ?5時間睡眠で目が覚める現象の背景


夜中に目が覚めてしまう、特に睡眠を始めて5時間ほどで目が覚めると、日中の調子にも関わるため不安になりますね。
この現象の背景には、睡眠のリズムが深く関わっています。
ご自身の睡眠について理解を深めることが、解決への第一歩となるでしょう。
具体的には、睡眠サイクルの仕組みや、夜中に目が覚めてしまう「中途覚醒」と「早朝覚醒」の違い、睡眠の質が低下した場合の日中への影響、そして特定の原因となりうる更年期やストレスとの関連について見ていきます。
これらの知識は、ご自身の状態把握と適切な対策を見つける上で役立ちます。
睡眠サイクルの仕組みと目覚めやすい時間帯
私たちの睡眠は、単に眠っているだけではなく、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という異なる性質の睡眠が約90分周期で繰り返されることで成り立っています。
ノンレム睡眠は眠りの深さによってさらに段階分けされ、深い眠りから浅い眠りへと移行します。
寝始めてから5時間後というのは、一般的に3~4回目の睡眠サイクルにあたり、浅いノンレム睡眠やレム睡眠が出現しやすい時間帯です。
このタイミングは、外部のわずかな刺激や体内の変化によって目が覚めやすくなるため、5時間程度で覚醒してしまう一因となります。
睡眠の種類 | 特徴 |
---|---|
レム睡眠 | 体は休息、脳は活動、夢を見ることが多い |
ノンレム睡眠 | 脳も体も休息、深い眠りから浅い眠りまで段階あり |
この睡眠サイクルを理解することで、なぜ特定の時間に目が覚めやすいのかが見えてきます。
「中途覚醒」と「早朝覚醒」の基本的な違い
夜中に目が覚めてしまう現象には、主に「中途覚醒」と「早朝覚醒」という二つのタイプがあります。
中途覚醒は、一度寝入った後に、朝起きるまでの間に何度も目が覚めてしまい、その後なかなか寝付けない状態を指します。
一方、早朝覚醒は、自分が起きようと思っていた時刻より2時間以上も早く目が覚めてしまい、その後再び眠ることができない状態です。
どちらも睡眠の質を低下させる要因となり、5時間で目が覚めるという場合、どちらのタイプに当てはまるか、あるいは混合しているかを考えることが原因究明の手がかりになります。
項目 | 中途覚醒 | 早朝覚醒 |
---|---|---|
目覚める時間 | 夜間、起床時刻までの間に複数回 | 予定起床時刻の2時間以上前 |
再入眠 | 困難な場合が多い | 困難 |
主な原因 | ストレス、頻尿、睡眠時無呼吸、環境要因、加齢など | 加齢、うつ病、体内時計の乱れ、早い就寝時間など |
これらの違いを知っておくことで、医師に相談する際にも役立ちます。
睡眠の質が低下することによる日中への影響
5時間で目が覚めてしまう状態が続くと、単に睡眠時間が不足するだけでなく、睡眠の質そのものが低下し、心身に様々な悪影響が現れます。
質の高い睡眠は、心と体の休息、記憶の整理、ホルモンバランスの調整、免疫機能の維持などに不可欠です。
睡眠の質が低いと、日中に以下のような様々な問題を引き起こす可能性があります。



夜中に目が覚めると、昼間すごく眠くて…仕事に集中できないんです。



睡眠が中断されると、疲労回復が不十分になりがちです。日中のパフォーマンスにも影響しますよね。
影響の種類 | 具体的な症状例 |
---|---|
身体的な影響 | 疲労感、倦怠感、頭痛、肩こり、免疫力低下による風邪 |
精神的な影響 | 集中力・注意力の低下、記憶力の低下、イライラ、気分の落ち込み |
生活への影響 | 仕事や家事の効率低下、日中の強い眠気、事故のリスク増加 |
これらのサインが見られたら、睡眠の問題に早めに対処することが大切です。
更年期と睡眠の関係性
特に40代後半から50代の女性の場合、更年期が睡眠に影響を与えている可能性は無視できません。
更年期には、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に減少します。
このホルモンバランスの乱れは、自律神経の働きを不安定にし、様々な心身の不調を引き起こします。
具体的には、ほてりやのぼせ(ホットフラッシュ)、異常な発汗(寝汗)、動悸、イライラ、不安感などが挙げられます。
これらの症状が夜間に起こると、睡眠が妨げられ、中途覚醒の原因となることが少なくありません。



そうなんです。寝汗でびっしょりになって目が覚めることもあって…



ホルモンバランスの変化による症状は、睡眠の質に直接影響します。つらいですよね。
更年期による不調は個人差が大きいですが、睡眠障害の引き金になることは広く知られています。
ストレスが睡眠に与える深刻な影響
現代社会において、ストレスは睡眠の大敵と言えます。
仕事のプレッシャー、人間関係の悩み、家庭内の問題、将来への不安など、様々なストレス要因が私たちの心身に影響を与えます。
ストレスを感じると、体は交感神経が優位な緊張状態になります。
この状態では、覚醒を促すホルモン(コルチゾールなど)の分泌が高まり、心拍数や血圧が上昇するため、リラックスして眠りにつくことが難しくなります。
たとえ寝付けたとしても、眠りが浅くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりするのです。
ストレスの種類 | 具体的な影響例 |
---|---|
急性ストレス | 寝つきが悪くなる、一時的な不眠 |
慢性ストレス | 中途覚醒、早朝覚醒、熟睡感の欠如、長期的な睡眠障害 |
精神的ストレス | 不安や抑うつ気分による睡眠の質の低下 |
身体的ストレス | 病気や痛みによる睡眠の中断 |
ストレスが溜まっていると感じる場合は、それが睡眠に悪影響を与えている可能性を考え、対策を講じることが重要になります。
5時間で目が覚めてしまう主な原因の探求


夜中に目が覚めてしまう原因は一つではありません。
ご自身の状況に当てはまる原因を見つけることが、質の高い睡眠を取り戻すための第一歩となります。
考えられる原因として、「睡眠時無呼吸症候群」、「夜間頻尿」、「むずむず脚症候群」、「アルコールの影響」、「生活リズムの乱れ」、そして寝室の「温度や湿度」、「光や音」といった環境要因が挙げられます。
一つずつ確認していきましょう。
これらの原因に心当たりがないかチェックし、改善策を探ることが重要です。
睡眠時無呼吸症候群の可能性チェック
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が何度も止まったり浅くなったりする病気です。
この状態が続くと、脳が酸素不足を感じて目を覚ますため、夜中に何度も目が覚める原因となります。
大きないびきや日中の強い眠気がある場合は、特に注意が必要です。



いびきが大きいと言われるけど、それも関係あるの?



はい、大きないびきは睡眠時無呼吸症候群の代表的なサインの一つです
放置すると体に大きな負担がかかるため、心当たりがある場合は呼吸器内科や睡眠専門のクリニックで相談することをおすすめします。
夜間頻尿による睡眠中断
夜間頻尿とは、夜間に排尿のために1回以上起きなければならない状態を指します。
特に夜間に2回以上トイレに起きる場合は、睡眠の質を大きく低下させる要因となります。
加齢や水分の摂りすぎ、あるいは泌尿器科系の病気や糖尿病などが原因として考えられます。



寝る前に水を飲むとトイレに起きてしまう気がする…



就寝前の水分摂取は、コップ1杯程度を目安にすると良いでしょう
就寝前の水分摂取量を見直したり、カフェインやアルコールを控えたりすることで改善することもありますが、続く場合はかかりつけ医や泌尿器科への相談を検討しましょう。
むずむず脚症候群や周期性四肢運動障害の兆候
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)は、主に夕方から夜にかけて、脚に虫が這うような不快感や痛み、「むずむず」するような何とも言えない感覚が現れる病気です。
じっとしていると症状が強くなるため、眠ろうとすると脚を動かしたくてたまらなくなり、入眠困難や中途覚醒の原因となります。
また、睡眠中に脚がピクンと動く周期性四肢運動障害が合併していることも少なくありません。



夕方になると脚がむずむずして落ち着かないことがある…



その症状、むずむず脚症候群かもしれません。専門医に相談してみましょう
鉄分不足や特定の薬剤が原因となることもありますので、神経内科や睡眠専門医に相談することが大切です。
アルコール摂取が引き起こす睡眠後半の覚醒
寝る前にお酒を飲むと寝つきが良くなるように感じますが、アルコールは睡眠の質を低下させ、特に睡眠後半の覚醒を引き起こす原因となります。
アルコールが体内で分解される過程で生成されるアセトアルデヒドという物質が交感神経を刺激し、眠りが浅くなり、目が覚めやすくなるのです。
また、アルコールには利尿作用もあるため、トイレに行きたくなって目が覚めることもあります。



寝つきが悪いから、つい寝酒をしてしまうんだけど…



寝酒は一時的に眠気を誘いますが、結果的に睡眠の質を悪化させるためおすすめできません
ぐっすり眠るためには、就寝前のアルコール摂取は控えることが賢明です。
不規則な生活リズムと体内時計の乱れ
私たちの体には、約24時間周期の体内時計(概日リズム)が備わっており、睡眠と覚醒のリズムを調整しています。
就寝時間や起床時間が毎日バラバラだったり、休日に「寝だめ」をしたりすると、体内時計が乱れてしまいます。
体内時計の乱れは、寝つきが悪くなるだけでなく、夜中に目が覚めてしまう原因にもなるのです。



週末はゆっくり寝たいけど、良くないの?



休日の寝坊も2時間程度にとどめ、できるだけ平日と同じ時間に起きるのが理想的です
毎日決まった時間に寝起きするなど、規則正しい生活を送ることが、質の高い睡眠を維持するために重要です。
寝室の温度や湿度が合っていない可能性
快適な睡眠のためには、寝室の温度と湿度が適切に保たれていることが非常に重要です。
夏場は室温25〜26℃、冬場は22〜23℃程度、湿度は年間を通して50〜60%が快適な睡眠に適した目安とされています。
暑すぎたり寒すぎたり、あるいは乾燥しすぎたりジメジメしすぎたりすると、不快感から夜中に目が覚めてしまうことがあります。



冬は寒くて朝方目が覚めてしまうことが多い気がする…



寝る前からエアコンや暖房器具で部屋を暖めておく、タイマーを活用するなどの工夫が有効です
寝具だけでなく、エアコンや加湿器・除湿器などを活用して、一年を通して快適な寝室環境を整えましょう。
光や音が睡眠の妨げになっていないかの確認
寝室の明るさや周囲の音も、睡眠の質に大きく影響します。
豆電球や窓から差し込む街灯のわずかな光でも、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌を抑制してしまいます。
また、時計の秒針の音や家族の生活音、外の騒音なども、眠りを妨げる原因となります。



寝る前にスマホを見るのが習慣になっているんだけど…



スマートフォンのブルーライトは特にメラトニン分泌を抑えるため、就寝1時間前からは使用を控えましょう
遮光カーテンやアイマスク、耳栓などを活用して、できるだけ暗く静かな環境で眠ることが、途中で目覚めることなく朝までぐっすり眠るためのポイントです。
専門家が教える7つの対策とセルフケア


5時間で目が覚める悩みを解決するためには、具体的な対策の実践とセルフケアが不可欠です。
ここでは、生活リズムの確立から睡眠への意識の向け方まで、7つの具体的な方法を紹介いたします。
これらの方法を試すことで、睡眠の質を改善し、すっきりとした目覚めを目指しましょう。
原因に応じた適切な対策を取り入れることで、快適な睡眠を取り戻すことが可能です。
1. 毎朝同じ時間に起きる生活リズムの確立
体内時計を整えるためには、毎朝同じ時間に起きることが最も重要です。
人間の体は約24時間周期の体内時計を持っていますが、わずかなズレが生じます。
毎朝同じ時刻に太陽光を浴びることで、体内時計がリセットされ、夜の自然な眠気につながります。
休日に「寝だめ」をすると、体内時計が乱れてしまい、かえって週明けの睡眠に悪影響を及ぼすことがあるため、平日との起床時間の差は1〜2時間以内にとどめるのがおすすめです。



休日くらい、ゆっくり寝たいのだけれど…?



お気持ちはよく分かります。完全に同じでなくても、大きなズレを作らないことが大切です
まずは1週間、起床時間を一定にすることから始めてみましょう。
2. 快適な寝室環境への見直し
睡眠の質を高めるためには、心身ともにリラックスできる寝室環境が欠かせません。
快適な睡眠のためには、寝室の温度は夏場25~26℃、冬場22~23℃、湿度は年間を通して50~60%程度が理想的といわれます。
また、音や光も睡眠を妨げる要因となります。
遮光カーテンを利用して外からの光を遮断したり、必要であれば耳栓を使用したりする工夫も有効でしょう。
寝具が体に合っていないと、寝返りが打ちにくかったり、体の痛みにつながったりすることもあるため、枕の高さやマットレスの硬さなども見直してみるとよいかもしれません。
項目 | 目安 | 具体的な工夫例 |
---|---|---|
温度 | 夏: 25-26℃ / 冬: 22-23℃ | エアコンのタイマー設定、寝る前に寝室を冷やす/暖める |
湿度 | 通年: 50-60% | 加湿器・除湿器の使用、濡れタオルを干す |
光 | できるだけ暗く | 遮光カーテン、アイマスクの使用 |
音 | 静かな環境 | 耳栓の使用、二重窓にする |
寝具 | 体に合ったもの | 枕の高さ調整、マットレスの硬さ見直し |
自分が最も落ち着ける寝室環境を作り上げることが、質の高い睡眠への近道となります。
3. 就寝前のカフェインや水分の摂取制限
就寝前のカフェインや過剰な水分摂取は、中途覚醒の直接的な原因となりえます。
カフェインには覚醒作用があり、その効果は個人差があるものの摂取後30分〜1時間でピークに達し、4時間程度持続すると言われています。
コーヒーや緑茶、紅茶、エナジードリンクなどは、少なくとも就寝4時間前からは避けるように心がけましょう。
また、寝る直前に水分を摂りすぎると、夜中にトイレに行きたくなり目が覚めてしまう原因になります。
特に利尿作用のあるアルコールは控えるのが賢明です。



寝る前にお茶を飲むのが習慣なのですが…



ノンカフェインのハーブティー(カモミールティーなど)や白湯に切り替えるのがおすすめです
就寝前の飲み物を見直すだけで、夜中の目覚めを減らす効果が期待できます。
4. スマートフォンやPCのブルーライト対策
スマートフォンやパソコンの画面から発せられるブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、寝つきを悪くしたり、眠りを浅くしたりする原因となります。
メラトニンは、夜暗くなると分泌が増え、私たちを眠りへと誘う重要なホルモンです。
しかし、寝る直前までスマートフォンなどの強い光を浴びていると、脳が「まだ昼間だ」と勘違いし、メラトニンの分泌が抑えられてしまいます。
理想的には、就寝1〜2時間前からはデジタルデバイスの使用を控えることが推奨されます。
どうしても使用する場合は、画面の明るさを下げたり、ブルーライトカット機能やアプリを利用したりする対策を取りましょう。



つい寝る前にSNSを見てしまうんです…



寝室にスマートフォンを持ち込まない、タイマーを設定するなどのルールを決めるのも一つの方法です
就寝前のデジタルデトックスを意識することが、スムーズな入眠と深い睡眠につながります。
5. 入浴や軽いストレッチによるリラックス習慣
就寝前に心身をリラックスさせることは、スムーズな入眠と質の高い睡眠を得るために非常に有効です。
人は体温が下がる過程で眠気を感じやすくなります。
就寝の約90分前に38〜40℃程度のぬるめのお湯に15〜20分ほど浸かると、一時的に深部体温が上がり、その後スムーズに体温が下がるため、自然な眠気を促します。
入浴が難しい場合は、足湯だけでも効果があります。
また、軽いストレッチや深呼吸は、日中の緊張をほぐし、副交感神経を優位にしてリラックス状態を作るのに役立ちます。
激しい運動は逆に交感神経を刺激してしまうため避けましょう。
おすすめのリラックス方法 | ポイント |
---|---|
ぬるめの入浴 | 就寝90分前、38-40℃で15-20分 |
足湯 | 手軽に体を温める |
軽いストレッチ | 筋肉の緊張をほぐす、無理のない範囲で |
深呼吸 | ゆっくりと腹式呼吸を行う |
音楽鑑賞 | 心が落ち着く静かな音楽 |
アロマテラピー | ラベンダーなどリラックス効果のある香り |
自分に合ったリラックス方法を見つけ、就寝前の習慣に取り入れましょう。
6. 日中の適度な運動や気分転換の実施
日中の活動量と夜の睡眠の質には深い関係があります。
適度な運動は、心地よい疲労感を生み出し、夜の寝つきを良くする効果が期待できます。
ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を、週に3〜5回、1回30分程度行うのがおすすめです。
ただし、就寝直前の激しい運動は体温を上げ、交感神経を刺激してしまうため、寝つきを妨げる可能性があります。
運動は、できるだけ就寝の3時間前までに終えるようにしましょう。
また、日中にストレスを感じたときは、散歩に出かけたり、趣味の時間を持ったりするなど、意識的に気分転換を図ることも大切です。
日光を浴びることは、セロトニンの分泌を促し、精神的な安定にもつながります。



運動する時間がなかなか取れなくて…



エレベーターではなく階段を使う、一駅分歩くなど、日常生活の中で活動量を増やす工夫から始めてみましょう
日中の活動的な過ごし方が、夜の快適な睡眠をサポートします。
7. 睡眠への過度な意識を手放す心の持ち方
「眠らなければ」というプレッシャーや不安が、かえって不眠を悪化させることがあります。
睡眠は本来、自然な生理現象です。
しかし、「昨夜も眠れなかったらどうしよう」「早く寝ないと明日に響く」などと考えすぎると、交感神経が優位になり、ますます目が冴えてしまうという悪循環に陥りやすくなります。
布団に入ってもなかなか眠れない場合は、一度布団から出て、リラックスできる音楽を聴いたり、温かい飲み物(ノンカフェイン)を飲んだりして、眠気を感じてから再び布団に入るという方法(刺激制御法)も有効です。
「眠れなくても横になっているだけで体は休まる」と、少し気楽に構えることも大切です。



眠れないと、どうしても焦ってしまいます…



その焦りが眠りを遠ざけてしまうこともあります。眠りへの執着を手放す練習も大切です
睡眠に対する考え方を変えることが、心の負担を軽くし、自然な眠りを取り戻す助けとなります。
それでも改善しない場合の次のステップ


セルフケアを試してもなかなか眠りが改善しない場合、一人で抱え込まずに次の段階へ進むことが大切です。
原因が特定できれば、より効果的な対策が見つかる可能性があります。
専門家の視点を取り入れることで、解決の糸口が見えることも多いです。
ここでは、具体的なステップとして、睡眠記録の活用、婦人科受診の検討、睡眠専門医や心療内科への相談タイミング、医療機関での検査や治療法、そして長期的な視点での取り組みについて解説します。
これらのステップを通じて、ご自身の状況に合った解決策を見つけていきましょう。
諦めずに適切な行動をとることが、質の高い睡眠を取り戻すための鍵となります。
睡眠記録をつけてパターンを把握
まず試していただきたいのが、睡眠記録をつけることです。
ご自身の睡眠の状態を客観的に把握するのに役立ちます。
具体的には、就寝時刻、起床時刻、夜中に目が覚めた回数や時間、その時の状況、日中の眠気や体調、就寝前の食事や行動などを記録します。
最低でも2週間程度続けることで、ご自身の睡眠パターンや、どのような時に目が覚めやすいのかといった傾向が見えてきます。
スマートフォンのアプリや簡単なメモ帳でも構いません。
記録項目 | 記録内容の例 |
---|---|
就寝時刻 | 23:00 |
入眠までの時間 | 約15分 |
中途覚醒の回数 | 1回 |
中途覚醒の時刻 | 3:30 |
再入眠までの時間 | 約45分 |
起床時刻 | 6:00 |
総睡眠時間 | 約6時間 |
日中の眠気 | 午後に強い眠気あり |
就寝前の行動 | 22:00までスマートフォン操作 |
その他の気づき | トイレで目が覚めた、仕事の心配事 |



記録って、具体的に何を書けばいいの?



就寝・起床時間、夜中に目覚めた回数と時間などをメモしましょう
この記録は、医療機関を受診する際にも非常に役立つ情報となります。
更年期症状が疑われる場合の婦人科受診
特に40代後半から50代の女性の場合、5時間程度で目が覚めてしまう原因の一つとして更年期の影響が考えられます。
女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が急激に減少することで、自律神経のバランスが乱れ、睡眠にも影響が出やすくなるのです。
ホットフラッシュ(突然のほてりや発汗)、動悸、イライラ、気分の落ち込みといった更年期の代表的な症状とともに、不眠(寝つきが悪い、夜中に目が覚める、眠りが浅い)を訴える方は少なくありません。
もし、更年期にあたる年齢で、他の症状も併せて感じている場合は、婦人科を受診することを検討してみましょう。



もしかして、私の不眠も更年期のせいかしら?



可能性はありますので、一度婦人科で相談してみるのがおすすめです
婦人科では、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬の処方など、個々の症状や体質に合わせた治療法の提案が受けられます。
睡眠専門医や心療内科への相談タイミング
様々なセルフケアを試しても改善が見られない場合、専門医への相談が有効です。
どのタイミングで受診すべきか迷う方もいるでしょう。
一般的な目安としては、「生活習慣や寝室環境を見直すなどのセルフケアを1ヶ月以上続けても改善しない場合」、「夜中に目が覚めることが週に3回以上あり、それが数週間以上続いている場合」、「日中の眠気やだるさがひどく、仕事や家事など日常生活に支障が出ている場合」などが挙げられます。
精神的なストレスが強いと感じる場合は、心療内科の受診も選択肢の一つです。



病院に行くほどではない気がするんだけど…



つらい症状が続く場合は、早めの受診が改善への近道ですよ
専門医は睡眠に関する深い知識と経験を持っています。
原因を正確に診断し、適切な治療へと導いてくれるでしょう。
医療機関で受けられる検査や治療法の概要
睡眠の問題で医療機関を受診した場合、まずは詳しい問診が行われます。
その後、必要に応じて専門的な検査や治療が検討されます。
検査としては、睡眠中の脳波や呼吸、心拍数などを測定する「睡眠ポリグラフ検査(PSG)」があります。
この検査により、睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群などの睡眠障害の有無や程度を診断できます。
血液検査でホルモンバランスなどを調べることもあります。
治療法には、睡眠薬や抗うつ薬などの薬物療法のほか、睡眠に関する考え方や行動を修正する「認知行動療法(CBT-I)」、睡眠時無呼吸症候群に対する「CPAP療法」などがあります。
種類 | 具体例 |
---|---|
検査 | 問診、睡眠ポリグラフ検査(PSG)、血液検査 |
治療法 | 薬物療法、認知行動療法(CBT-I)、CPAP療法 |
これらの検査や治療法の中から、医師が患者さんの状態に合わせて最適なものを選択、提案します。
自分だけで判断せず、専門家とよく相談することが重要です。
長期的な視点での健康的な睡眠習慣の構築
薬物療法や専門的な治療を受ける場合でも、それだけに頼るのではなく、健康的な睡眠習慣を長期的に構築していく視点が欠かせません。
これまでにご紹介したセルフケア(規則正しい生活リズムの維持、快適な寝室環境の整備、就寝前のリラックス習慣、ストレスマネジメントなど)は、治療と並行して、あるいは治療後も継続することが大切です。
睡眠の問題は、生活習慣全体を見直す良い機会と捉え、焦らず根気強く取り組んでいきましょう。
一時的な対策だけでなく、日々の積み重ねが、将来にわたる質の高い睡眠と心身の健康へとつながっていきます。
よくある質問(FAQ)
- 5時間睡眠で目が覚めるのは病気のサインでしょうか?
-
必ずしも病気が原因とは限りませんが、背景に睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群といった睡眠障害が隠れている可能性はあります。
大きないびきをかく、脚の不快感で眠れないなどの症状がある場合は、一度医療機関への相談を検討しましょう。
原因を特定することが改善への第一歩となります。
- 高齢になると、夜中に何度も目が覚めやすくなるのはなぜですか?
-
加齢に伴い、深いノンレム睡眠が減少し、睡眠全体が浅くなる傾向があります。
また、睡眠に関わるホルモンであるメラトニンの分泌量も低下します。
加えて、トイレが近くなる(夜間頻尿)ことも、高齢者の方が夜中に何度も目が覚める原因の一つとなります。
- ストレスを感じると熟睡できないのですが、すぐできる対処法はありますか?
-
ストレスは自律神経のバランスを乱し、眠りを浅くする大きな原因です。
寝る前に、ぬるめのお湯にゆっくり浸かったり、軽いストレッチや深呼吸を行ったりして心身をリラックスさせましょう。
好きな音楽を聴く、アロマを焚くなども、気分転換になり入眠を助ける効果が期待できます。
- 睡眠の質を高めるために、寝る前の食事で気をつけることはありますか?
-
寝る直前の食事は避けましょう。
胃腸が活発に動いていると、深い睡眠に入りにくくなります。
特に、消化に時間のかかる脂っこいものや、刺激の強い香辛料などは控えるのがおすすめです。
夕食は就寝の3時間前までに済ませ、軽いものにするのが理想的な寝る前の習慣です。
- 睡眠改善のためにサプリメントの利用を考えていますが、注意点はありますか?
-
サプリメントはあくまで睡眠をサポートする補助的な役割です。
まずは生活習慣の見直しや睡眠環境の改善を試みましょう。
サプリメントを利用する場合は、成分や効果、副作用についてよく確認が必要です。
他の薬を服用している場合や、不眠症の症状が続く場合は、自己判断せずに医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
- 日中の眠気がひどいのですが、短い昼寝は効果がありますか?
-
はい、効果的な場合があります。
午後の早い時間帯(15時頃まで)に15~20分程度の短い仮眠をとることは、日中の眠気を軽減し、午後の活動の質を高めるのに役立ちます。
ただし、30分以上の長い昼寝や夕方以降の昼寝は、夜間の睡眠不足を招き、体内時計を乱す可能性があるため注意しましょう。
まとめ
この記事では、睡眠時間が5時間ほどで目が覚めてしまう原因と、具体的な7つの対策について詳しく解説しました。
この問題は、生活習慣の見直しやストレス管理など、ご自身でできる対策で改善できる可能性があります。
この記事のポイント
- 5時間で目が覚める原因は生活習慣、ストレス、加齢、病気など様々
- 規則正しい生活リズムが質の高い睡眠の基本
- 寝室環境や就寝前の習慣改善など具体的な対策の実践
- セルフケアで改善しない場合は専門家への相談
もし現在、夜中に目が覚めてしまいお困りでしたら、まずはこの記事で紹介したセルフケアを試してみてください。