睡眠の質にとって、寝ている間の体温コントロールが非常に重要です。
この記事では、大人が寝ている間に体温が上がる原因をホルモンバランスや生活習慣、環境など様々な角度から解説し、今日からできる簡単な対策を紹介します。

夜中に体が熱くて目が覚めるのは、どうしてかしら…?



その原因と、ぐっすり眠るための具体的な対策をお伝えしますね
- 大人が寝ている時に体温が上がる主な理由
- 寝汗や不眠を改善する体温管理のコツ
- ホルモンバランスやストレスと体温の関係
- すぐできる寝室環境や入浴方法の工夫
寝ている間の体温上昇、その背景にあるもの


この見出しのポイント
睡眠と体温は非常に密接に関係しており、快適な睡眠のためには体温の変化を理解することが大切です。
具体的には、眠りと体温の関係性、生命維持に欠かせない深部体温の役割、1日の体温リズム、そして眠りにつく際に体温が自然に下がる仕組みについて見ていきます。
まずは、私たちの体がどのように体温を調節し、それが睡眠にどう影響するのか、基本的なメカニズムを知りましょう。
眠りと体温の密接なつながり
睡眠と体温は、互いに影響し合う切っても切れない関係にあります。
質の高い睡眠を得るためには、体温、特に体の内部の温度である深部体温がスムーズに下がることが重要です。
例えば、眠る前に手足が温かくなるのは、体から熱を放出して深部体温を下げようとする体のサインなのです。
この体温調節の仕組みが、私たちの眠りの深さや質を左右します。
深部体温とは何か、その役割
深部体温とは、脳や内臓など、体の中心部の温度のことです。
皮膚表面の温度とは異なり、深部体温は約37℃前後に保たれ、生命活動を維持するために非常に重要な役割を担っています。
体温計で測る体温よりも0.5℃~1℃程度高いのが一般的です。



深部体温って、普段測る体温と違うのね?



はい、体の内部の大切な温度のことなんです
深部体温の変動を理解することが、睡眠の質を考える上で鍵となります。
1日の体温リズムと睡眠への影響
私たちの体温は、1日の中で一定のリズムで変動しています。
これを体温の日内変動(サーカディアンリズム)と呼びます。
一般的に、体温は早朝に最も低く、活動量が増える夕方にかけて最も高くなります。
そして夜になると、自然な眠りを促すために徐々に下降していきます。
このリズムが、私たちの睡眠と覚醒のサイクルを作り出しているのです。
この自然な体温リズムが整っていることが、スムーズな入眠と質の高い睡眠につながります。
入眠時に体温が下がる仕組み
眠りにつくためには、深部体温が低下することが必要です。
体は、手足の血管を広げて血流を増やし、皮膚から熱を効率よく外へ逃がします(熱放散)。
これにより、体の中心部の温度が約0.5℃〜1℃程度下がり、脳の活動が落ち着き、自然な眠気が訪れるのです。
赤ちゃんが眠る前に手足が温かくなるのは、この仕組みによるものです。



体が温かい方が眠れそうなのに、下がる方がいいの?



そうなんです、体の内部を冷ますことで脳が休息モードに入るんですよ
スムーズな入眠には、この熱放散を妨げない環境や体の状態が大切になります。
寝てる時体温が上がる主な5つの理由


睡眠中に体が熱く感じる背景には、様々な原因が潜んでいます。
根本的には体温調節機能の乱れが関係していることが多いですが、その引き金となる要因は一つではありません。
ここでは、主な原因としてホルモンバランスの変化、自律神経の乱れ、寝室の環境、寝具やパジャマ、寝る前の食事やアルコール摂取、そして体調不良のサインについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
これらの原因を理解することが、ご自身に合った対策を見つけるための大切な第一歩となります。
ホルモンバランスの変化と影響(更年期・妊娠など)
特に女性の場合、ホルモンバランスの変化が睡眠中の体温上昇に大きく関わっています。
これは、女性ホルモンが体温調節中枢に影響を与えるためです。
例えば、更年期にさしかかると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に減少します。
その結果、体温調節がうまくいかなくなり、上半身を中心に急にカーッと熱くなるホットフラッシュや、寝汗といった症状が現れやすくなるのです。
また、妊娠中や月経前は、プロゲステロンというホルモンの影響で基礎体温が約0.3~0.5℃上昇します。
時期 | 主なホルモン変化 | 睡眠時の体温への影響 |
---|---|---|
更年期 | エストロゲン減少 | ホットフラッシュ、寝汗による体温上昇 |
妊娠中 | プロゲステロン増加 | 基礎体温の上昇 |
月経前 | プロゲステロン増加 | 基礎体温の上昇 |



最近、夜中に急に暑くなって目が覚めるのは、もしかして更年期のせい?



更年期によるホルモンバランスの変化は、睡眠中の体温上昇の大きな原因の一つと考えられますよ
ホルモンバランスの変化は自然な生理現象ですが、睡眠を妨げるほどつらい場合は、生活習慣の見直しや、場合によっては婦人科への相談も検討しましょう。
ストレスや生活リズムによる自律神経の乱れ
私たちの体温は、自律神経によって常にコントロールされています。
自律神経には活動モードの「交感神経」とリラックスモードの「副交感神経」があり、この2つのバランスによって体温調節を含めた体の機能が保たれているのです。
しかし、過度なストレスや不規則な生活が続くと、この自律神経のバランスが乱れやすくなります。
特に、日中に強いストレスを感じたり、夜遅くまで仕事をしたりすると、交感神経が優位な状態が続き、体が十分にリラックスできません。
その結果、寝ている間も体温が下がりにくくなり、体が熱く感じてしまうことがあります。
自律神経の乱れによる症状例 |
---|
寝つきが悪い |
夜中に目が覚める |
寝汗をかく |
日中の倦怠感 |
気分の落ち込み |
頭痛や肩こり |



仕事や家のことで悩みが多くて、夜もなかなかリラックスできない…これも関係あるのかな?



はい、ストレスが続くと自律神経が乱れて、寝ている間の体温調節にも影響が出やすいのです
心当たりがある方は、日中にリフレッシュする時間を作ったり、寝る前にリラックスできる習慣を取り入れたりして、自律神経のバランスを整えることを意識しましょう。
寝室の温度や湿度の影響
見落としがちですが、寝室の環境も睡眠中の体温に大きく影響します。
快適な睡眠のためには、適切な温度と湿度を保つことが非常に重要です。
一般的に、寝室の理想的な温度は夏なら26℃前後、冬なら18℃前後、湿度は年間を通して50%前後が目安とされています。
寝室の温度が高すぎたり、湿度が高くて蒸し暑かったりすると、体から外部へ熱をうまく逃がすことができず(放熱)、深部体温が下がりにくくなり、結果として寝苦しさや体温の上昇を感じやすくなります。
要素 | 目安 | ポイント |
---|---|---|
温度 | 夏: 26℃前後 / 冬: 18℃前後 | エアコンのタイマー活用 |
湿度 | 50%前後 | 除湿器・加湿器の利用 |
換気 | 定期的に行う | 空気の流れを作る |
遮光 | 光を遮る | 質の高い睡眠のため |
静音 | 静かな環境 | リラックスできる空間 |



寝室の温度や湿度って、あまり気にしたことなかったかも…



寝室の環境を少し見直すだけで、眠りの質が大きく変わることもありますよ
エアコンや除湿器、加湿器などを上手に活用し、ご自身にとって心地よいと感じる寝室環境を維持するように心がけましょう。
通気性の悪い寝具やパジャマの使用
毎日使う寝具やパジャマも、睡眠中の体温調節に影響を与える要素です。
特に素材選びは重要になります。
ポリエステルなどの化学繊維でできたパジャマや、吸湿性・通気性の低い寝具を使っていると、寝ている間にかいた汗がうまく吸収・発散されず、衣服内や布団の中に熱や湿気がこもりやすくなります。
これが、体が熱く感じたり、不快感で目が覚めたりする原因となるのです。
快適な睡眠のためには、綿(コットン)、麻(リネン)、シルクといった、汗をしっかり吸い取り、通気性の良い天然素材のパジャマやシーツを選ぶことがおすすめです。
素材 | 吸湿性 | 通気性 | 肌触り | 特徴 |
---|---|---|---|---|
綿 | ◎ | ◯ | ◯ | 吸湿性が高く肌に優しい |
麻 | ◯ | ◎ | △ | 通気性抜群で夏に最適、やや硬め |
シルク | ◯ | ◯ | ◎ | 滑らかで肌触りが良い、保温性も |



パジャマはデザインで選んでたけど、素材も大事なのね…



汗をしっかり吸って、熱を逃がしてくれる素材を選ぶのがポイントです
季節や室温に合わせて、掛け布団の厚さを調整したり、肌触りの良い寝具を選んだりすることも、心地よい眠りにつながります。
寝る前の食事やアルコール摂取
寝る前の食事やアルコール摂取といった習慣も、睡眠中の体温に影響を与えます。
食べたものを消化・吸収するためにはエネルギーが必要で、この過程で熱(食事誘発性熱産生)が発生します。
特に、寝る直前に食事をとると、消化活動が活発な状態で眠りにつくことになり、体の内部の温度が下がりにくくなります。
理想としては、就寝の2~3時間前までには食事を済ませておくことが望ましいです。
また、アルコールは一時的に寝つきを良くするように感じさせるかもしれませんが、分解される過程で交感神経を刺激し、体温を上昇させる作用があります。
結果的に、夜中に目が覚めやすくなったり、睡眠の質を低下させたりする原因となるのです。
寝る前に避けるべき飲食物 | 理由 |
---|---|
脂っこい食事 | 消化に時間がかかり、内臓が活発に働く |
多量の食事 | 消化のためのエネルギー消費が多く、体温が上がる |
カフェイン飲料 | 覚醒作用がある |
アルコール | 利尿作用、中途覚醒、体温上昇を引き起こす |



仕事から帰ってすぐにご飯を食べて寝ちゃうことが多いけど、良くないのかな?



寝る直前の食事は、体が休まるのを妨げてしまうことがあるんです
質の高い睡眠のためには、夕食の時間や内容、寝る前の飲酒習慣を見直すことが大切です。
風邪や発熱など体調不良のサイン
寝ている間に体が熱いと感じる場合、単なる睡眠中の生理的な変化だけでなく、体調不良が原因である可能性も考えなくてはなりません。
特に、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかっている場合は、体が病原体と戦うために意図的に体温を上げています。
体温を測ってみて37.5℃以上の発熱がある場合や、悪寒(寒気)、体のだるさ、喉の痛み、咳、鼻水といった他の症状も伴う場合は、注意が必要です。
このような場合は、睡眠中の体温上昇というよりも、病気による発熱と考えるべきでしょう。
注意すべき体調不良のサイン |
---|
37.5℃以上の発熱 |
悪寒(寒気) |
全身の倦怠感 |
喉の痛み、咳、鼻水 |
頭痛、関節痛 |
いつもと違う多量の寝汗 |



体が熱いだけなのか、風邪なのか、どう見分ければいいの?



発熱やだるさなど、他の症状がある場合は無理せず医療機関を受診しましょう
普段の「寝ている間に体が熱い」という感覚とは明らかに違う体調の変化を感じた場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診することが重要です。
今日からできる、心地よい眠りのための体温対策


心地よい眠りを得るためには、睡眠中の体温を適切にコントロールすることが非常に重要です。
体温が上がりすぎてしまうと、寝苦しさや中途覚醒の原因となり、睡眠の質を大きく低下させてしまいます。
ここでは、寝室環境の最適化から日中の過ごし方まで、今日から実践できる具体的な体温対策をご紹介します。
これらの対策を通じて、寝ている間の不快な体温上昇を抑え、朝までぐっすりと眠れるようになることを目指しましょう。
これらの対策を無理なく生活に取り入れることで、寝苦しい夜から解放され、快適な睡眠を手に入れることができます。
寝室環境の最適化(温度・湿度)
寝室の温度と湿度は、睡眠の質に影響する重要な要素です。
暑すぎたり寒すぎたり、あるいは乾燥しすぎたりジメジメしすぎたりする環境は、体の自然な体温調節を妨げ、眠りを浅くする原因です。
具体的には、夏場は26℃前後、冬場は18℃前後を目安に、湿度は年間を通じて50%前後に保つのが理想的とされます。
エアコンや除湿器・加湿器を上手に活用し、快適だと感じる環境を維持することが大切です。
就寝中ずっとつけっぱなしにするのが苦手な方は、タイマー機能を利用して、寝付くまでの時間や就寝後数時間だけ稼働させるのも良い方法です。



エアコンつけっぱなしだと、体が冷えすぎたり乾燥したりしないか心配…



タイマーを活用して、就寝後数時間で切れるように設定するのがおすすめですよ
自分にとって心地よい寝室環境を整えることで、体はリラックスし、自然な体温変化を促し、より深い眠りへと導かれます。
通気性の良い寝具・パジャマ選び
寝ている間にかく汗をしっかり吸収し、熱をこもらせないためには、直接肌に触れる寝具やパジャマの素材選びが非常に重要です。
通気性が悪い素材は、湿気や熱がこもりやすく、体温が必要以上に上昇する原因となり、寝苦しさを招きます。
おすすめは、綿(コットン)、麻(リネン)、シルクといった天然素材です。
これらの素材は吸湿性や通気性に優れており、汗をかいてもサラッとした肌触りを保ちやすい特徴があります。
特に夏場は麻、冬場でも汗をかきやすい方は綿やシルクが良いでしょう。
掛け布団も、季節に合わせて保温性と通気性のバランスが良いものを選びます。
素材 | 特徴 | おすすめの季節 |
---|---|---|
綿 | 吸湿性・通気性が良い、肌触りが柔らかい | オールシーズン |
麻 | 通気性・吸湿発散性に優れる、ひんやりとした肌触り | 夏 |
シルク | 吸湿性・放湿性・保温性に優れる、滑らかな肌触り | オールシーズン |
自分の肌に合う、心地よいと感じる素材の寝具やパジャマを選ぶことは、睡眠中の不快感を軽減し、体温調節をスムーズにするための大切なステップです。
寝る1~2時間前のぬるめ入浴の効果
一日の終わりに湯船に浸かることは、単にリラックス効果があるだけでなく、スムーズな入眠を促すための重要な体温調節の役割を果たします。
入浴によって一時的に体の深部体温が上がり、その後、体温が下がっていく過程で自然な眠気が誘発されるのです。
効果的な入浴のポイントは、就寝の1~2時間前に、38~40℃程度のぬるめのお湯に10~20分ほどゆっくりと浸かることです。
熱すぎるお湯は交感神経を刺激してしまい、かえって寝つきを悪くする可能性があるため注意しましょう。



忙しくてシャワーで済ませちゃうことが多いのよね…



湯船に浸かる時間がない日でも、足湯だけでも試してみてはいかがでしょうか
寝る前のぬるめの入浴を習慣にすることは、体のリズムを整え、心地よい眠りへと誘う効果的な方法です。
就寝前のリラックスタイムの創出
心身の緊張や興奮は、体温を上昇させ、寝つきを悪くする大きな要因です。
そのため、眠りにつく前に意識的にリラックスする時間を設けることが、質の高い睡眠には欠かせません。
寝る前の1時間は、スマートフォンやパソコン、テレビなど、強い光を発するものを見るのを避けましょう。
代わりに、読書をしたり、ヒーリングミュージックのような穏やかな音楽を聴いたり、温かいノンカフェインの飲み物(カモミールティーやホットミルクなど)を飲んだりするのがおすすめです。
軽いストレッチや深呼吸、ラベンダーなどのリラックス効果のあるアロマを焚くのも良いでしょう。



つい寝る前までスマホを見ちゃう…



寝室にはスマホを持ち込まない、など簡単なルールを決めるのも一つの手ですよ
自分に合ったリラックス方法を見つけ、毎日の習慣として取り入れることで、心と体を落ち着かせ、スムーズな入眠と体温の安定につなげることができます。
食事や飲み物のタイミングと選び方
寝る直前の食事や特定の飲み物の摂取は、消化活動のために内臓が活発に働き、体温が上昇しやすくなるため、睡眠の質に影響を与えます。
特に、消化に時間のかかるものや刺激物は避けるべきです。
理想的なのは、就寝の2~3時間前までには夕食を済ませることです。
内容は、脂っこいものや香辛料の多いもの、満腹になりすぎる量を避けるように心がけましょう。
飲み物については、アルコールは一時的に眠気を誘いますが、睡眠の後半で体温を上昇させ、眠りを浅くする作用があります。
コーヒーや緑茶、紅茶などに含まれるカフェインも覚醒作用があるため、就寝前は控えるのが賢明です。
避けるべきもの | おすすめの飲み物 |
---|---|
アルコール | 白湯 |
カフェイン飲料(コーヒー、緑茶など) | カモミールティー |
脂っこい食事、消化の悪い食事 | ホットミルク(少量) |
就寝直前の多量の水分摂取 |
就寝前の飲食習慣を見直すことは、夜間の不必要な体温上昇を防ぎ、穏やかな眠りを維持するために大切なポイントです。
日中の適度な運動習慣
意外に思われるかもしれませんが、日中に適度な運動を行うことは、夜間のスムーズな体温調節と質の高い睡眠につながります。
運動によって体の活動と休息のリズムにメリハリがつき、夜になると自然に体温が下がりやすくなるためです。
おすすめは、ウォーキングや軽いジョギング、ヨガ、水泳などの有酸素運動です。
激しい運動である必要はなく、心地よく汗ばむ程度で十分です。
タイミングとしては、夕方、遅くとも就寝の3時間前までに行うのが効果的とされています。
寝る直前の激しい運動は、逆に体温を上げてしまい、寝つきを妨げるので避けましょう。



運動する時間なんて、なかなかないのよね…



エレベーターではなく階段を使う、一駅分歩くなど、日常の中で少し体を動かすことから始めてみませんか
無理のない範囲で日中の運動を習慣化することは、体温リズムを整え、夜の安眠をサポートする有効な手段となります。
冷え性対策としての温め方
手足が冷たくてなかなか寝付けない、という経験はありませんか?体の末端の冷えは、実は深部体温が下がりにくい原因となり、睡眠の質を低下させることがあります。
手足の血管が収縮していると、体内の熱がうまく外に放出されず、結果的に寝ている間に体幹部の温度が上がってしまうことがあるのです。
そのため、冷えを感じる方は、寝る前に手足を中心に体を温めることが大切です。
具体的な方法としては、就寝前に足湯をする、湯たんぽや電気毛布(ただし、寝付いたらスイッチを切るかタイマー設定推奨)で布団を温めておく、締め付け感のないゆったりとした靴下やレッグウォーマーを着用するなどが挙げられます。
シルクや綿などの天然素材のものが蒸れにくくおすすめです。



靴下を履いて寝ると、逆に暑くて脱いじゃうことがあるのだけど…



シルクや綿など、通気性の良い素材のゆったりした靴下を選んでみてくださいね
体の末端を適切に温め、血行を促進することで、スムーズな熱放散を助け、深部体温の低下を促し、心地よい眠りへと導きます。
健康的な体温変化と注意点


この見出しのポイント
睡眠中の体温変化は、健康な眠りのサインである一方、体に不調があるサインの場合もあります。
体温が異常に高い状態が続いたり、寝汗やだるさなどの不快な症状が伴ったりする場合は注意が必要です。
ここでは、正常な体温変動と異常な高体温の違い、寝汗やだるさが続く場合の対処法、そして医療機関への相談を考えるタイミングについて詳しく見ていきましょう。
自分の体のサインを見逃さず、適切な対処をすることが、健やかな眠りと健康維持につながります。
正常な体温変動と異常な高体温の違い
健康な人の体温は一日の中で自然に変動します。
「正常な体温変動」とは、眠りに入る際に深部体温がスムーズに下がり、朝の目覚めに向けて徐々に上昇していく、生理的なリズムの一部です。
一方で、「異常な高体温」とは、風邪などの発熱や、何らかの体の不調が原因で、睡眠を妨げるほど体温が上昇し、不快な症状を伴う状態を指します。
一般的に、健康な大人の場合、1日のうちで体温が最も低い早朝と、最も高い夕方の体温差は1℃以内に収まることが目安とされています。
体温が38℃以上に上昇する場合や、平熱よりも明らかに高い状態が続く場合は、単なる生理的な変動ではなく、何らかの原因がある可能性が高いと言えます。
項目 | 正常な体温変動 | 異常な高体温(注意が必要なケース) |
---|---|---|
変動パターン | 入眠時に低下、起床に向けて上昇 | 睡眠中に著しく上昇、持続 |
朝夕の体温差 | 1℃以内程度 | 1℃を超える変動が見られる |
最高体温 | 平熱の範囲内 | 38℃以上の発熱、または平熱より明らかに高い |
伴う症状 | なし(快適な睡眠) | 寝汗、だるさ、悪寒、その他の体調不良 |
原因 | 健康な生体リズム | 発熱、感染症、ホルモン異常、自律神経失調など |



体が熱いだけなのか、それとも病気なのか、どうやって見分ければいいの?



体温だけでなく、寝汗やだるさなど他の症状も合わせて判断しましょう。
単に体が熱いと感じる主観的な感覚だけでなく、実際に体温を測ってみること、そして他に不快な症状がないかを確認することが、正常な変動か異常な状態かを見分けるための重要なポイントとなります。
寝汗やだるさが続く場合の対処法
睡眠中に汗をかくこと自体は、体温を調節するための自然な反応です。
しかし、「寝汗」がひどくパジャマやシーツが濡れるほどであったり、朝起きた時にすっきりせず「だるさ」が残っていたりする状態が続く場合は、睡眠の質が低下しているサイン、あるいは体からのSOSかもしれません。
このような状態が続く場合、まずは 生活習慣や睡眠環境を見直すことから始めましょう。
具体的には、寝室の温度を夏場は26℃前後、冬場は18℃前後を目安に快適な温度に保ち、湿度も50%前後に調整することが大切です。
また、寝具やパジャマを通気性・吸湿性に優れた綿や麻、シルクなどの素材に変えるだけでも、寝汗による不快感が軽減されることがあります。
寝る前のカフェインやアルコールの摂取を控える、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かってリラックスするなど、基本的な対策を試してみましょう。
カテゴリ | 具体的な対処法 |
---|---|
寝室環境 | 室温・湿度の調整(例:夏26℃、冬18℃) |
換気 | |
寝具・衣類 | 通気性・吸湿性の良い素材(綿、麻) |
季節に合わせた掛け布団の調整 | |
生活習慣 | 寝る前のカフェイン・アルコールを避ける |
就寝1-2時間前のぬるめの入浴 | |
ストレスケア(リラックス) | |
日中の適度な運動 |



寝汗がひどくて、パジャマがびっしょりになる日もあるのだけど…



まずは寝具やパジャマの素材を見直してみることから試してみましょう。
これらのセルフケアを試しても、寝汗やだるさが改善しない場合は、ホルモンバランスの乱れや自律神経の不調、あるいは他の病気が隠れている可能性も考えられます。
その際は、次のステップとして医療機関への相談を検討する必要があります。
医療機関への相談を考えるタイミング
寝室環境の調整や生活習慣の見直しといったセルフケアを一定期間(例えば2週間程度)試しても、寝汗やだるさ、睡眠中の体温上昇といった症状が改善しない、あるいはむしろ悪化していると感じる場合は、医療機関への相談を考えることが大切です。
特に、以下のような症状が見られる場合は、早めに医師の診察を受けることを推奨します。
例えば、38℃以上の発熱が数日以上続く場合、原因不明の著しい体重減少がある場合、日中の活動に支障が出るほどの強い倦怠感が続く場合、あるいは動悸、息切れ、気分の落ち込みなど、睡眠中の体温上昇以外にも気になる症状がある場合です。
これらは、単なる睡眠の問題だけでなく、他の病気が背景にある可能性を示すサインとなります。
症状・状況 | 備考 |
---|---|
38℃以上の発熱が数日以上続く | 感染症などの可能性 |
寝汗・だるさが2週間以上続く | 生活習慣以外の原因も考慮 |
日常生活に支障が出るほどの強い倦怠感 | – |
説明のつかない体重減少 | – |
動悸、息切れ、胸の痛み | 心臓や呼吸器系の問題の可能性 |
気分の著しい落ち込み、意欲低下 | 精神的な不調の可能性 |
更年期症状が特にひどい | 婦人科での相談を検討 |
その他、普段と違う気になる症状 | かかりつけ医への相談が基本 |



何科を受診すればいいのかしら…



まずはかかりつけの内科、女性の場合は婦人科も選択肢になります。
受診する際には、いつからどのような症状があるのか、どのような対策を試したのかなどを具体的に伝えることで、医師はより正確な診断を下しやすくなります。
一人で抱え込まず、専門家の意見を聞くことが、原因の特定と適切な治療、そして安心につながる第一歩です。
よくある質問(FAQ)
- 寝ている時に体が熱くなるのは、ストレスが原因の一つだと聞きましたが、具体的にどう関係するのですか?
-
過度なストレスは自律神経のバランスを乱します。
特に、活動モードの交感神経が優位な状態が続くと、体がリラックスできず、寝てる時に深部体温が下がりにくくなり、体が熱いと感じることがあります。
日中にリラックスできる時間を作ることなどが、改善の方法の一つになります。
- 暑くて眠れない時、体を冷やすのは効果がありますか?
-
体を冷やしすぎると、血管が収縮して逆に深部体温が下がりにくくなることがあります。
直接冷やすのではなく、室温を適切に保つ、通気性の良いパジャマや寝具を選ぶ、寝る前にぬるめの入浴で自然な体温調節を促すなどの対策が効果的です。
体を冷やすより、熱を上手に逃がす工夫をしましょう。
- 寝汗がひどいのですが、これも寝てる時の体温上昇と関係がありますか?
-
はい、関係があります。
体温を下げるために汗をかくのは自然な仕組みです。
しかし、過度な寝汗はホルモンバランスの乱れ(特に更年期の女性)、自律神経の乱れ、寝室の温度や湿度が高いことなどが理由として考えられます。
続く場合は異常なサインかもしれないため、病院への相談も検討してください。
- 寝ている間の体温上昇は女性特有の悩みなのでしょうか?男性でも起こりますか?
-
ホルモンバランスの変動(更年期や妊娠など)は女性特有の原因です。
しかし、男性でもストレス、自律神経の乱れ、寝室環境、寝る前の食事やアルコール摂取などが原因で寝てる時に体温が上がることはあります。
根本的な仕組みや対策は男女共通の部分も多いです。
- 寝てる時に体が熱くてだるい感じが続く場合、何かの病気の可能性はありますか?
-
単なる体温調節の乱れの場合もあります。
ただし、発熱(風邪など)や自律神経失調症、甲状腺機能亢進症などの病気が隠れている可能性も否定できません。
だるい感じが続く、寝汗がひどい、体重減少など他の症状があれば、病院でチェックしてもらうことをお勧めします。
何科を受診すればよいか迷う場合は、まずかかりつけ医か内科に相談しましょう。
- 自分の寝てる時の体温が正常なのか異常なのか知りたいのですが、測り方はありますか?
-
睡眠中の深部体温を自宅で正確に測るのは難しいです。
一般的な体温計で、就寝前と起床直後の体温を測り、その差や日中の体温との変動をチェックするのも一つの目安になります。
ただし、より重要なのは体温の数値そのものより、睡眠の質や日中のだるさなどの自覚症状です。
まとめ
この記事では、大人が寝ている間に体温が上がるさまざまな原因と、今日から試せる具体的な対策について解説しました。
質の高い睡眠のためには、寝ている間の体温を適切にコントロールすることが非常に大切となります。
- 睡眠中の体温上昇の原因(ホルモンバランス、ストレス、生活習慣、寝室環境など)
- 質の高い睡眠に不可欠な、深部体温をスムーズに下げる体温調節の重要性
- 有効な対策(寝る前のぬるめの入浴、リラックス習慣、寝室環境の整備、通気性の良い寝具)
- 不調が続く場合や他の症状がある際の医療機関への相談
ご自身の体調や生活習慣を振り返り、できそうな対策から試してみてください。
それでも改善が見られない、あるいは他の症状が気になる場合は、無理せず医療機関に相談することも検討するのも良い方法です。